shibuya1000

Shibuya 1000_009 「シブヤ広場合戦」

2017(平成29)年3月14日(火)18:00~

8/COURT@渋谷ヒカリエ

03「町内会」

平井 真央さん(コミュニティFM渋谷のラジオ副理事長/総合プロデューサー)

プロフィール

平井 真央(ひらい まお)コミュニティーFM渋谷のラジオ 副理事長/総合プロデューサー

『風とロック』代表。慶應義塾大学卒業後、博報堂を経て、2011年に独立。その後、リクルート「ゼクシィ」など数々の広告の企画/プロデュースを手がける。'13年より、実妹・平井理央のマネジメントオフィス「dejaneiro」を設立。'16年4月本放送を開始したコミュニティFM「渋谷のラジオ」(87.6MHz)の総合プロデューサーを務める。
<渋谷のラジオ公式ページ>https://shiburadi.com

 平井真央と申します。よろしくお願いします。
 今日はKATSU佐藤の代理で急遽登壇しているため、なかなかお見苦しいところもあるかと思いますが、よろしくお願いします。そしてKATSU佐藤さんを見ようと思って今日予定されていた方には申し訳ありません。もうすぐ復帰されると思いますが、急遽私が代理を務めさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手)
 広場のお題ですが、私は「町内会」と書かせていただいていますが、その理由は渋谷のラジオのご説明をさせていただく中にあるのかなと考えています。今日は建築関係の方が多くいらっしゃるということで、インフラに興味があるということかもしれませんが、こちらはラジオということで、メディアだけではなく、渋谷区の中でのコミュニティのインフラになっていけたらいいなと思ってつくっています。ソフト面やハード面でご一緒できることがあればと思います。渋谷のラジオをご存じない方もいらっしゃると思いますが、今日はその説明をさせていただければと思います。よろしくお願いします。

◆「渋谷のラジオ」とは

 渋谷のラジオは2016年4月1日に本放送を開始したコミュニティラジオですが、87.6MHzに合わせていただくと建物の中なので聞きづらいかもしれませんが、お聞きいただけます。また、無料アプリ「渋谷のラジオ」で検索していただいてダウンロードしていただくと聞くことができます。地域密着×世界最先端の放送局ということで、よく「世界最先端って、何が最先端なの?」という質問をされますが、やはり渋谷区にあること自体、渋谷というのが『バケモノの子』の話でも新宿ではなく渋谷を選ばれたというところで、渋谷という場所が世界でも注目させているというところも含めて「世界最先端」だと思っています。ステーションメッセージは、長谷部区長の区政の中でも叫ばれているダイバーシティということで、「ダイバーシティ、シブヤシティ。」とさせていただいています。
 開局時にNHKで放映された紹介番組で谷村さんが"手弁当感"とおっしゃっていたのですが、それは見事に体現されてしまっていて、本当はちゃんとJ-WAVEさんだったりTOKYO FMさんのようにギャランティをお支払いできればいいんですが、まさにギャランティが渋谷で採れた蜂蜜になっていまして、2時間45分の生放送を著名人の方々が「ここの放送局はこれだけしゃべらせて蜂蜜で喉をいやせっていうのかよ」とよく生放送でおっしゃっています(笑)。そういう状況ですが、和気藹々とやっております。

◆コミュニティFMの復活

 この中で渋谷のラジオにご出演いただいた方はいらっしゃいますか。
(10数名が手を挙げる)
 ありがとうございます。というように、結構みなさんに出ていただいていて、たぶん出ていただいているのは昼間の「渋谷のワイド」ですね。月曜日から金曜日の朝8時から夜19時までの11時間ぶっ通しで生放送をやっています。その後、「渋谷ナイト」が19時からでして、世界一長い時報を目指そうと思って野宮真貴さんの「東京は夜の七時」を時報代わりに19時5分まで流して、その後、「喉から血が出る」と言いながらやられている著名人の方々の生放送があります。「渋谷のナイト」です。土日は、「渋谷ダイバーシティ」ということでLGBTの方々に生放送で番組を持っていただいています。「渋谷のチルドレン」といって、ちびっ子たちが大人の悩みに答えていくという番組もあります。
 このように、まさにダイバーシティの局としての番組編成をしています。
 どういうふうに立ち上げに至ったかは、いろいろあると思いますが、今日欠席だったKATSU佐藤さんが渋谷の商店会系の代表として入ってくれていて、渋谷には元々コミュニティFMがありましたが、経済的なことが理由でいったん潰れてしまいました。そこで「渋谷区の中でコミュニティFMがないのはどうなのか」ということで、商店会の方々も欲していたこともあって、渋谷のラジオができました。
 もう一つの流れとしては、2011年3月11日の東日本大震災がきっかけとなって、コミュニティラジオの必要性を感じて、「やるべきだ」と箭内道彦(コミュニティFM渋谷のラジオ 理事長)が今の地元である渋谷区で何かできないか模索していたのが合致したことがあります。震災とラジオの可能性はみなさまもメディアでご覧になっていると思いますが、我々が震災後に思ったのは、各地の災害FMが通常の大きなラジオ局ではできない生活情報を発信して、それが最初の時点で役立っていた。かつ、「女川さいがいFM」や「福島県富岡の隣人災害FM『おだがいさまFM』」など、余儀なく全国各地に散らばってしまった人たちが、これを聞くことでみんながつながれるということで各地の災害FMがすごく役立っていたとことを目の当たりにしていたからです。渋谷区だって明日何が起こるか分からない中で、そういった、災害の時のコミュニティを今つくっておかなくてはという気持ちもありました。

 あとは、「機能するメディア」、「今までにないメディア」ということで、メディアでコミュニティをつくるのはたぶん初めての試みだと思います。ここで一つモデルとしてできると全国に派生していく。「うちも渋谷のラジオみたいなことをやってみよう」ということで、「すごくよい広がりになるかな」ということや、コンテンツづくり、コミュニティづくりがきっかけで、流れが合流していく。3年程、結構時間をかけて、毎週木曜日朝8時から1時間の定例会議をみんなで繰り返し、やっと総務省から免許をいただきまして開局したというところです。
 いざという時のために「防災」はよくいわれますが、備えるという意味も含めて「備災」みたいなイメージもあります。やはり、ラジオをつくること自体がメディアや電波をどうこうというよりは、むしろ「コミュニティをつくるきっかけ、インフラになれるかな」ということがここに込められています。

◆目標は、渋谷に住む全ての人が出演するラジオ

 「聞くだけではなく出るラジオ」ということで、コミュニティづくりをどのようにするかというと、番組に出ていただいてコミュニティづくりというか、番組に出ていただくことでつながったり、「友達も出たよ!」みたいなところでつながっていって、何かあったときに「あの人に聞けばいいな」とか「あの人あんな話をしていたな」みたいなのがつながっていくこともあると思います。
 先ほど齋藤さんに「出てください!」と言ったら、「えー」って誤魔化されましたが、こういうラジオ局なので、是非ご参加ください(笑)。決して著名人の方々だけではなく、本当に地元の方々にたくさん出ていただいていて、人数でいくと3ヶ月に一度タイムテーブルを更新しているんですが、3ヶ月で大体1,100人から1,200人に出ていただいているので、1年で考えると…。何年か越しで渋谷区に住んでいる人が全員出ていることにしたいと思っていて、そうするとみんな

が渋谷のラジオでつながっているわけですから、「いざ」というときは力を合わせて乗り切っていけることになると思います。

◆ローカルヒーローの誕生

 今の話とも通じますが"ローカルヒーロー"ということ。写真のオレンジのおじさんが今日登壇できなかったKATSU佐藤さんです。彼は元々不動産屋さんで、しかも先ほどのギャランティの蜂蜜をつくっているのも彼なんです。渋谷区にあるビルの屋上を借りて、そこでミツバチを飼って、そこでつくった蜂蜜を出しています。奥様にうかがっても「元々はこんな人じゃなかった」ということなのですが、今は、渋谷区内中、「あそこにKATSUさんいたよ」「あそこにもKATSUさんいたよ」というくらい、いろんな所にいて、彼を筆頭に地元の方々が"ローカルヒーロー"として出てきています。区長も公約で、「僕は"ローカルヒーロー"の"プロデューサー"です。」というお話をされていたと思いますが、「本当に"ローカルヒーロー"がたくさん生み出されている場所なんじゃないかな」と思っています。一方で、ヒーローのローカル化もあると思います。渋谷のナイトの著名人枠ですが、「自分と渋谷」というお話をしていただいて、立川談志師匠や又吉直樹さん、ミュージシャンなど、"渋谷について"を振り絞って考えて話す番組があります。ブルーハーツの真島さんからも「あそこの屋根裏っていうライブハウスからヒロトと出発したんだ」みたいなお話があったり。蜂蜜で渋谷区の宣伝をしていただいているというか。これはCMの費用対効果としてもスゴイことだと思います。
 「そういうヒーローのローカル化もあるな」と思いつつ、今、まちを開発されている方がここに多くいらっしゃると思いますが、人の開発も一緒にしているような気がします。まちの開発が人の開発、まちの開発とともに人の開発もしているように思っていて、人が名産というところでいくと、渋谷区というまちの素晴らしさもありますが、そこに集う人たちがすごく名産になっていて、その人たちが、「再」開発なのか、「新」開発なのか、「真」開発なのか、いろいろなところで才能を芽吹かせている場になってきつつあるので、より頑張っていこうと思っています。

◆「町内会」に込めた思い

 「どうやって運営しているの?」ということでは、本当に少数の中でボランティアスタッフに、すごく助けられています。最初に募集を開始してから3日間で400人の応募をいただいていて、我々が受けきれなくて一旦ストップしましたが、第一次スタッフが割と育ってきたので第二次募集を開始し、今は760人のボランティアの方々が集っています。これは17歳のディレクターと58歳のディレクターです。こういった形で年代もばらばら、性別も男女問わずで、その点がこのボードに書かせていただいた「町内会」になっているのかなと思います。
 「町内会」というのは、私もあまり経験しているわけではありませんが、箭内も先ほどのVTRで言っていましたが、「老若男女というかいろんな世代の方々で全く違う職種の人たちが一つの場所に集まって祭りを執り行う。そこにいろんなエネルギーが渦巻いていく」。そういうところでいうと、渋谷のラジオってカオスな状態なんですよ。先ほどの17歳のディレクターと58歳のディレクターが一緒に番組をつくったり、そこに集うまちの人たちが入れ替わり立ち替わりで先ほどの11時間の生放送の中でいろんな人が「あー。どうも!どうも!」なんて言いながら、「僕は次に出るので」と入れ替わっていくんです。夜になると段々みんながお酒を飲みだして、先ほどの記者会見に映っていた渋谷道玄坂商店街の大西会長が大学生の、今度就職するような若い子と話をしながら「これから飲みに連れて行ってやる!」みたいな感じで飲みに行ってしまうようなことがすごく行われています。
 このように、渋谷のラジオが何となく"人間交差点"になって、世代が縦につながる場所が"町内会"かなと思いつつ、実は渋谷は"ある種の田舎"というか、都心の冷たさみたいなことはない、「一枚皮を剥ぐとめちゃめちゃ温かい」「めちゃくちゃ田舎じゃない」っていうような人のつながりと、実は毛細血管として、そういうことで成り立っていると思います。その上に世界が、みんなが、憧れて来るスクランブル交差点だったり、"カワイイ"という文化だったり。そういうものが皮としてまとわれていて、中の生き生きさせている血管は、こういう町内会の人たちがつくっているんだということを目の当たりにしています。それが、私が「町内会」という言葉に込めた思いです。

◆市民ファウンダーになりませんか?

 最後に宣伝していいですか? 最初に福山さんが「スペシャルファウンダーで出資しています」という話をさせていただきましたが、実は、市民ファウンダーという制度も設けておりまして、初年度は会費10,000円、次年度以降は年会費5,000円ということで募金をいただいた方は「市民ファウンダー」として箭内が一枚一枚、木札を手で書かせていただき、スタジオにずっと飾っております。是非、「よし!渋谷のラジオを一緒に運営してやるよ!」という気持ちがある方は、HPから市民ファウンダーになっていただけたら大変嬉しいです。
 それでは、いろいろとありがとうございました。「出るよ~」とか「告知あるよ~」とか含めて、何かありましたら、いつでもご連絡いただき、是非是非ご出演いただければと思いますので、よろしくお願いいたします!(拍手)

 

平井 真央(コミュニティFM渋谷のラジオ副理事長/総合プロデューサー)
  • 8/COURT@渋谷ヒカリエ