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Shibuya 1000_009 「シブヤ広場合戦」

2017(平成29)年3月14日(火)18:00~

8/COURT@渋谷ヒカリエ

01「広場は旅へ出る」

小宮山 雄飛さん(ミュージシャン/渋谷区観光大使 兼 クリエイティブアンバサダー)

プロフィール

小宮山 雄飛(こみやま ゆうひ)ミュージシャン 渋谷観光大使 兼 クリエイティブアンバサダー

1996年ホフディランのVo&Keyとしてデビュー。渋谷区観光大使兼クリエイティブアンバサダー。音楽以外でも、映画・グルメなどに精通し、数々の連載やメディアへと活躍の場を広げている。
<ホフディラン公式サイト>http://hoff.jp/e/20/

 改めまして、小宮山雄飛と申します。よろしくお願いします。
 僕は、ご紹介いただいたように、原宿で生まれ育って、ちょうど目の前にいる長谷部区長が地元の先輩です。「区長になった暁には、雄飛、何かやってくれ。」と言われました。受かった翌日、本当に電話があって「何かやってくれるよね。」と言われて、2年前から観光大使という形でいろいろと活動させてもらっています。
 本日は、パソコンを使って画を見ながら、お話したいと思います。いわゆる自己紹介的な話にしようと思いまして、僕が渋谷区の観光大使としてどんなことをやらせてもらっているかということをお話ししたいと思います。
 もとがミュージシャンでいろいろな仕事をしているので、あちこちで渋谷をアピールしています。その一つは、昨年『Hanako FOR MEN 特別保存版 渋谷(区)新地図』(発行:マガジンハウス)という形で渋谷区の新地図を責任編集として出させていただいています。新しいお店や渋谷の歴史、再開発で新しくなっていく渋谷をみつめた本です。渋谷駅近辺の本屋さんではものすごい数が平積みで置いてあるんですが、残るとまずいので是非みなさんにも読んでいただきたいです。

◆広場は人や文化が集まる場所

 本日の議題「広場」ですが、僕の考える広場は、もちろん渋谷でいうと「スクランブル交差点」です。写真で分かるように、これだけ人がいる広場はなかなかありません。これだけ人がいて普通に車も通る広場は世界的に見てもないと思うので、まずは「スクランブル交差点」がシブヤの広場だと思います。
 もう一つは「代々木公園」の広場です。ここはフードフェスなどが毎週のように行われていて、ここまでオープンスペースで人が毎週のように集まるのは本当に珍しいと思います。僕はタイフードフェスの初期から好きでよく行っていましたが、最近はそのお店も30分待ちの人気になってしまって、なかなか行けません。
 まずは、代々木公園でどのようなことが行われているかを紹介します。写真は昨年行われたものです。1月から見ていくと「ゲスの極み乙女。フリーライブ」というとても不吉な始まり方です。以降、ここでのフェスティバルが軒並み中止になっているという、これは"ゲス極効果"だと思っています。これに始まり、2月は徳之島のイベントでした。野外イベントとして行っていて、1月2月は特に寒いため、イベントは少ないのですが、基本、毎週末や祝日に何らかのイベントが行われています。3月になると「タイミュージックグラミーアワード」があります。なぜ、タイがここでグラミーアワードを開くのかはわかりませんが…他にはアイルランドもあったりします。4月は少ないですが、アウトドアがあります。また、5月のゴールデンウィークから本格的にいろいろなイベントがありますが、ゴールデンウィーク中はほぼ連日何かが行われていました。見ていくと「シンコ・デ・マヨ」。これはラテンのフェスティバル「レインボーブライト」で、まさに渋谷区らしいイベントです。そして、カンボジアがあり、ラテンがある。またここでサルサもあるんです。さらに、タイのイベント「タイフェスティバル」、同時に「ゾンビウォーキング」もあります。行ったことがある人はわかると思いますが、これはゾンビが歩くイベントです。「よくこれにタイの人は怒らないな。」と思うんですが、タイフェスの横でゾンビが歩いている謎の状態が起きています。さらにラオスのイベントと日本からは沖縄のイベントが行われています。5月だけでこれだけのイベントがこの広場で行われていて、6月になるとベトナム、また「タイフェア」も行われます。これは"フェス"ではなく"フェア"なんです。その次は「アイランドフェスティバル」、島好きが集まるイベントです。さらに「アフリカンフェス」、今度は蕎麦のイベント「大江戸蕎麦博」、7月はブラジル「オーシャンピープル」という海好きのフェスや「ワールドグルメ」「お米エキスポ」があり、8月はネパールと「うどん天下一決定戦」があります。9月は「アジアフード」「ナマステ」「インディアン」「アラビアンフェスティバル」「北海道フェア」。10月は「納豆フェスタ」もあります。「納豆フェスタ」は、日本、インドネシア市民友好フェスティバル、秋田、茨城とのコラボレーションという、もう訳がわからないフェスタです。細かく言うと「秋田米フェスタ」も行われていて、このくらいいろんなフェスが開かれています。11月12月もたくさんのフェスティバルが広げられています。

 こうやってみると、広場って、ともすると世界中のものがたくさん集まりますが、ある種、世界文化がそこに集まるだけの場所になりがちです。
 幕張の「幕張メッセ」や水道橋の「東京ドーム」はまさに広場で、常にいろんなイベントが行われています。代々木公園も同じだと思いますが、毎日のようにいろんなイベントが行われています。ただ、それは逆に言うと「単なる広場」であり、例えば、幕張のまち、水道橋のまち自体が面白くなるかというと実はそうはなりません。逆に「not広場」とある秋葉原や原宿では、秋葉原は駅前に大きな広場がありますが、基本的には小売りの店舗が集まっているだけで広場文化というよりはお店の文化です。それが昔は「電気文化」、今は「アニメ・アイドル文化」に発達しています。原宿も昔はホコ天などの広場的要素もありましたが、今盛り上がっている竹下通りみたいなところは狭くて車も通れないような道にいろんなお店があって「カワイイ文化」ができています。

◆独自の文化を発信するシブヤの「広場」

 つまり広場として機能しすぎると、まちから発信するものがあまり出なくなりがちだということになります。
 逆に広場ではないけれど、そこに個性的なお店や人が集まるまちは、そこから外に出ていきます。例えば、外国人がイメージするときに、原宿、アキバは思い浮かぶと思うけれど、水道橋や幕張はイメージしないと思うんです。だから広場になりすぎるのも実はまちとしていいことだとは言えない。僕は、渋谷には、ある種の広場だけの場所にはなってほしくないというか、代々木公園のようにいろんなものが集まる広場もあるけれど、渋谷から独自の文化も出せる広場であってほしいと常々思っています。

◆"地域のつながり"をつくる

 そこで考えているイベントが「渋谷フードフェス」です。まさか区長が来るとは思っていなかったので、勝手に渋谷区のロゴを使っていますが、何らオフィシャルのイベントではありません。
 渋谷区にはたくさん美味しい食べ物屋さんがあり、渋谷発のグルメというのもあります。例えば、「パスタ壁の穴」で生まれたタラコスパゲティは、日本中で食べられるメニューになっていますが、元々は渋谷から生まれたものです。渋谷は他にも一号店がすごく多いんです。そういった渋谷のお店が集まったフードフェスをできないかと思っています。

 僕の勝手な構想だと東急東横店の催事場みたいなものを描いています。催事場で熊本フェアや北海道フェアを開催しているような感覚で、渋谷のまちのお店がたくさん集まったフェスができないかと思っています。それはどういうものかというと、まず"地域のつながり"がつくれるんじゃないかということです。有名なお店、焼肉だと「ゆうじ」さんなど、各お店にこういうイベントに参加するという告知をしてもらえると、例えば「ゆうじ」さんのお客さんが来る。そこで「こんな美味しいお店があったんだ」と横のお店を知ることになる。お店同士のつながりもできる。僕は食べ物が好きで、いろんなお店と仲がいいのですが、意外と食べ物屋さんは自分のお店の準備や営業があって横のつながりがそれほどないのです。渋谷区内のお店とお店の横のつながりができたり、あるいは、お客さんの常連同士が仲良くなったりという横のつながりをつくれないかと考えています。
 二番目は、「利用者の地域への密着」をつくりたい。先ほどのタイフードフェスに行っている人が出展している本当の店、例えば、錦糸町のタイ料理屋かもしれないし、大久保のタイ料理屋かもしれません。でも行くかというと行かないんです。その日一日はイベントとして楽しんで、渋谷の近くのお店にも寄らずに帰ってしまう。そうすると先ほどの幕張のイベントと同じで、そのイベントには行ったとしても、イベント後はまっすぐ帰ってしまうことになる。この「渋谷フードフェア」ではイベントで食べた人がそのお店の本店へ行ってみようとなるような"地域のつながり"ができたらいいなと思っています。

◆新たな試みから地方へそして世界へ

 さらに、「広場を地元に還元」というのは、広場は今、海外や地方に貸しているような状態で、それはそれでいろんな文化が入ってくるという面ではいいと思いますが、渋谷のお店や人にもう一度広場を還元できたら地元とつながるのではないかと思っています。僕が最終的に望むのは、もし、このようなイベントができて定着化したら、これを地方に持って行きたいです。大阪で渋谷区フェアとか、新潟で渋谷区フェアとか、北海道で渋谷区フェアとか。。。北海道展や熊本展が来るのと逆のことをできないかなと思っています。これがもっと広がって、パリで渋谷区フェアとか、ロンドンで渋谷区フェアを開けるようになると本当にシブヤの広場は外から来るものではなく、外へ出て行くものになる。そういった意味で今回は「広場は旅へ出る」と書かせていただきました。是非、シブヤの広場というものが、いろんなものが集まるだけではなく、いずれ世界へ出て行くような広場になってほしいと思っている次第です。
 今日はいろいろな関係者の方が来ていると思いますので、「渋谷フードフェス」—渋谷区公認のこのイベントが是非とも実現するように、一緒にやりたい方やいいアイデアがある方はこのあとの懇親会でお声掛けいただけたらと思います。
 小宮山雄飛でした。今日はありがとうございました。(拍手)

 

小宮山 雄飛
(ミュージシャン/渋谷区観光大使 兼 クリエイティブアンバサダー)
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