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Shibuya 1000_008 「シブヤ上下合戦」

2016年3月18日(金)19:00~

@イベント&コミュニティスペース dots.

03 「de-untitled」〜映写〜

岩本 健太(DBKN)(映像作家)

プロフィール

岩本 健太(DBKN)(映像作家)

音楽や街に関わる様々な映像を制作。10 年間渋谷で開催し続けている音楽家GOTH-TRAD が主宰する実験的音響イベントBACK TO CHILL においての映像制作を活動の中心としている。

■03:「de-untitled」~映写~

▷岩本 健太(DBKN)(映像作家)

映像を作っています岩本です。
普段は様々なドキュメンタリーを作っていることが活動のメインで、渋谷では"BACK TO CHILL"というクラブイベントを10年ほどやっています。
映画とかは、チラシとかがあって、アウトラインぐらいはそれで理解しつつ観ると思うんですけど、今日はそういったものの準備がないので、ちょっとチラシにある程度の情報の部分を話せればなと思っています。

◆異様なエネルギーが宿るスクランブル交差点

まず、今回、渋谷の"上下"というとこでお話をいただいたときに、まず思い浮かんだのは、先ほど南後さんもおっしゃっていた「スクランブル交差点」でした。僕は、スクランブル交差点に何か理屈じゃないエネルギーみたいなものを感じています。というのも、あの小さな面積の中に、3000人とかの人が一度に渡るというところに、何かこう得体のしれないエネルギーが宿っていないはずがないっていう感じがあって、何かそういうところに魅力を感じています。ただ、その実体があんまりよくわからないと思っているうちに何年も経ってしまっていて、今回、"上下"というテーマをいただいたときに、そのスクランブル交差点を断面的に見てみようと思いました。

◆スクランブル交差点の「上」と「下」

何度も見ている風景なのですが、まず言えるのは、いわゆる渋谷というまちを言葉で表す時によく言われるのが、"ものすごいスピードで変化するまち"という言葉です。そして、渋谷と言ってまず浮かんでくる象徴的な絵がスクランブル交差点の地上での風景だと思います。
その一方で地下に行ってみると、ショッピングロードがある。しぶちかショッピングロードというところに、みなさん一度は行ったことがあると思いますが、あそこは僕の個人的な解釈というか感覚でいうと、時間が止まっているように見えるというか、すごく旧時代の匂いがぷんぷんする場所、そういうふうに思うんですね。
例えば、場所の匂いって、なんていうんですかね、人間でいうと人間臭さというか、場所でいうと場所臭さというか、時間がたくさん積層していくとその臭いがどんどん強くなっていくというふうに思うようなことが、場所に臭いを発生させる理由なのかなと思っているんですけども、その臭いってただ漂っているだけなのかなと思うんですね。一体その臭いはどこに行くんだろうと。そう思って、しぶちかのショッピングロードの天井を見上げてみると、換気扇があって、臭いが吸い込まれていくように思ったんですね。なるほど、臭いが天井にこびりついているんじゃないかと。

◆上下からのエネルギーを受け止めている「間」

そういうことを考えながら、地上にまた戻ってみると、そのさっき話した「渋谷をものすごいスピードで変化させる執行人」みたいな、執行人という、ものすごくたくさんの量の人間が、床の部分を踏みしめていると。"上"からは"下"に対してものすごい変化の力を加えていて、"下"からは"上"にその臭いみたいな、それはある意味、僕は「変化しない力」だと思っているのですが、力を加えている。つまりスクランブル交差点には"上下"両方から互いに真逆の力がかかっているんです。
僕は今まで地上の部分と地下の部分のスペースというのを、それぞれの空間を別々に考えて、スクランブル交差点を見ていたんですけど、今回"上下"というテーマの中で考えたときに、"真ん中"という、空間じゃなくて部分みたいなところにすごく強烈なエネルギーがあるのを「溜まり」というか「鬱積した何か」みたいなのを感じました。この"上"と"下"双方からの互いへ向かう力が存在するから発生するというか、存在する「間」で、その間から生まれる「力」というか、あるいは「境界線」だったり、「中間の領域」みたいな、なんかそういった類の、はっきりとは言えないのですが、そのようなニュアンスのものを感じたことが今回の作品の出発点になりました。
話の中で登場人物というか、姿は出てこない人も結構いるのですが、声だけだったり、いろんな人たちがいろんなことを言っているように聞こえると思います。ただ、その話し声、言葉が使っている音とかも含めてそういうものを全部通して、いま僕が話したニュアンスの輪郭を少しでも形にさせられればいいなと思って作りました。そんなことをちょっと踏まえつつご覧になっていただければなと思います。
ではご覧ください。お願いします。

-映像作品上映(約17分)-

以上です。ありがとうございました。(拍手)

 

岩本 健太(DBKN)(映像作家)
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